豊前中津の大江氏とは？

後醍醐天皇の皇子で、南北朝期征西将軍

に従って九州入りした五条頼元親子ほか12名の従者のうちの一人、藤原備中守孝範　が豊前中津大江氏の始祖といわれる。
懐良親王一行は途中、伊予忽那島で3年滞在するなどして、興国3年(南朝暦）1342薩摩入りした後、各地で南朝方勢力を呼集し、九州南朝政権を構築していくのですが、正平13年(1358) 懐良親王が宇佐神宮をも、勢力下におさめた時、孝範を豊前大家郷（大江郷・現在中津市）の郷司に補任し、北朝方大友氏の目付役として、大江郷丸山城に居を定めた。
正平14年の大保原合戦の時も、この地で大友軍を牽制し、南北朝合一後もこの地にとどまり、土着して大江姓を名乗るようになった。
　時代はくだり、室町、戦国時代には、大内氏や大友氏に仕えながら、地方豪族として命脈を保っていましたが、秀吉の九州制圧の後黒田如水の豊前封入に際し、近隣小豪族と連合し抵抗しましたが、衆寡敵せず、降参し帰農しました。
　その後江戸時代に入り、本家13代範時は、江戸、長崎で医学を学び、医者となり、その後代々医家を継ぎ、享保２年（1717）奥平氏が入封して、２家の医家が御典医となり、幕末時には３系流の大江医家がありました。大江郷の本家系、大江雲澤（中津で華岡式麻酔による初めての外科手術）の鷹匠町系、大江春塘（医者・蘭学者・バスタード辞典編纂）、大江春水の京町系の３系統です。　

年(文和元、135生征西

長大な堂々とした剣で、長さ９３・５ｃｍ、両鎬造り、鍛は板目大いに柾がかり、刃文は小乱れ直刃交りである。帽子は沸崩れる。生茎の、先は栗尻で朽ち込みがひどく、鑢目も判然としない。表銘文は「為将軍宮御代官□□」、裏銘文は「奉施入八幡宇佐宮権少僧都信聡正平十三祀戊戌（１３５８）二月日」と切る。南北朝時代つまり後醍醐天皇の皇子懐良親王が征西将軍として鎮西を平定されたとき、武運長久を祈願御奉納された剣である。

吉祥寺の由来 中津市角木新町124
後藤照道住職の話（2007.5.12)

そもそも吉祥寺は初代藤原備中守孝範が元中８年（１３９１）に死去した際、二代清範が菩提寺として建て、孝範の院号、吉祥院殿丸山道統居士より吉祥寺と名づけた。それ以後大江家の菩提寺として続き、奥平氏の時代火災に遭い島田の地から現在地に移転した。そして大塚の墓地も吉祥寺で管理している。

吉祥寺住職の後藤照道氏と大江和生氏


２代清範が初代大江備中守孝範の　菩提寺として建てた角木の吉祥寺	大江本家22代　大江翰範の墓	文化6年（1809）没の銘は系図と一致

三光庵一道居士　明治5年（1872）没の銘は24代大江忠庵享範と一致する。華岡医塾の入門帳に名がある。	中津市大塚にある大江本家一族の墓地

おかこい山

ー中津城内堀土塁遺構の調査一　　　中津市文化財調査報告第 9集

第3章中津城の沿革

中津城と城下町の形成

豊前国の中核地＜中津＞は、宇佐神宮の中津宮鎮座の地で、古代には「中津島」・「中津江」といっていた（「大中津志」所収「中津譜誌」）より。荘園制のころ、この中津江の地には、荒巻・玉握・匁金の 3 つの荘園があり、この 3荘が、のちに上小路・中小路・下小路となった。上小路は今の金谷あたり、中小路は諸町・新魚町あたり、そして、下小路は船町・出町・下正路あたりである。南北朝期 (1334~93)の人に中津江太郎という人がいた。この太郎判官孝範は、中津川大家郷に丸山城を構営し、これを居城としていた。そして、重松・橋本・矢野・田中氏など、中津の 5名主が交代で城番をした。